股関節

【大腿骨頸部骨折】深層外旋六筋を必ず見るべし!

外旋筋サムネ

臨床で多くのセラピストがみる疾患の一つとして、

大腿骨頸部骨折の術後 や 人工関節全置換術(以下THA)があります。

みなさんも一度は見たことあると思います。

 

THA後のリハビリの中で、筋力強化や可動域訓練は行っているのに

●股関節の可動域が改善されない

●股関節の筋力が上がらない

●荷重する際、患側で支持できない

このようなことで悩んだことは、ないでしょうか?

 

このように感じる場合でも、大殿筋や中殿筋、腸腰筋など大きな筋に対して治療はしていると思います。もちろん、この大きな筋は重要な役割をはたしているため治療しなければいけません。

しかし、大きな筋のみに対して治療していては、改善されないことも多いです。

そこで必ずチェックしてほしい筋が

深層外旋六筋です。

 

●手術によって影響を受ける

●もともと骨盤が後傾位の姿勢であり、短縮位となっている

このようなことによって、深層外旋六筋に機能が低下していること多いです。

 

なので、今回のテーマは、

●深層外旋六筋の基本

●深層外旋六筋の機能

●大腿骨頸部骨折のリハビリで外旋筋を見る理由

 

深層外旋六筋は、股関節が機能するうえでとても重要な筋です。

そのため、大腿骨頸部骨折のリハビリだけでなく、他の股関節疾患においても外旋筋の機能を改善させることで効果がある場合があります。

そのため、他の疾患においても役立つ内容なので、最後まで読んでみてください。

 

深層外旋六筋の解剖学

まずは、基本的な解剖学から。

深層外旋六筋は、下記の6つの筋から構成されます。

●梨状筋  ●上双子筋 ●下双子筋

●内閉鎖筋 ●外閉鎖筋 ●大腿方形筋

この6つの筋が大腿骨頭の後方を通り、後ろから支えています。

外旋筋

 

これらは、すべて股関節の外旋作用を持っています。

股関節外旋に作用する筋の割合を見ると

深層外旋六筋(全体):約36%

大殿筋       :約30%

中殿筋後部繊維   :約28%

となっており、深層外旋六筋は大きな外旋作用を持っています。

 

では、一つずつ見ていきましょう。

梨状筋

【起始】

仙骨の前外側面、大坐骨切痕、仙結節靭帯

【停止】

大転子上縁

【作用】

股関節伸展・外転・外旋作用。

梨状筋は、股関節の屈曲角度によって作用が変化します。

股関節屈曲60°以下 → 股関節外旋作用

股関節屈曲60°以上 → 股関節内旋作用

股関節屈曲60°で股関節の内旋・外旋作用が変わるため、評価する際注意が必要です。

上双子筋

【起始】

坐骨棘の後面

【停止】

大転子内側面

【作用】

股関節外旋作用。

下双子筋

【起始】

坐骨結節の上部

【停止】

大転子の内側

【作用】

股関節外旋作用。

内閉鎖筋

【起始】

閉鎖孔

【停止】

大転子の内側

【作用】

股関節外旋作用。

上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋の腱は、停止部で合流します。

そのため、この3つの筋をまとめて三頭円筋とも呼ばれています。

外閉鎖筋

【起始】

閉鎖膜

【停止】

大転子の転子窩

【作用】

股関節内転・外旋作用。

大腿方形筋

【起始】

坐骨結節

【停止】

大腿骨の方形筋結節

【作用】

股関節外旋作用。

 

深層外旋六筋の機能

深層外旋六筋の主な作用は、股関節外旋作用です。

実は、深層外旋六筋には外旋作用以外にも大きな役割が3つあります。

●インナーマッスルとしての機能する

●股関節の運動を円滑にする

●姿勢制御に関与する

 

インナーマッスルとして機能

深層外旋六筋の大きな機能として、インナーマッスルとして働くことがあげられます。

 

それぞれの外旋筋が作用する力は、大腿骨頭を関節窩へ押し付ける方向大きくなる構造になっています。

そのため、深層外旋六筋が働くことで股関節が安定した状態で動くことができます。

 

深層外旋六筋が機能しない場合、股関節が不安定となってしまします。

その影響で

代償として2関節筋が過緊張となること や 股関節に痛みが生じる  など

といった2次障害につながることがあります。

 

股関節を安定した状態で動かし、2次障害を予防するためにもインナーマッスルとしての外旋筋の機能は必要です。

 

股関節の動きを円滑化

深層外旋六筋のうち、

内閉鎖筋・上双子筋・下双子筋・外閉鎖筋の4つは、

股関節の関節包・靭帯に付着します。

 

そのため、上記の筋が働くと関節包・靭帯が緊張し、

●関節包・靭帯の挟み込みを防ぐ

●関節包が緊張し、大腿骨頭を関節窩に安定させる

作用が働きます。

 

この2つの作用が働くことで、股関節は円滑に動くようになります。

 

『股関節の関節包・靭帯に付着する筋は?』

内閉鎖筋・上双子筋・下双子筋・外閉鎖筋・小殿筋・大腿直筋の反回頭・腸骨筋の一部。

これら、どれかの筋が機能不全の場合、股関節は円滑に動かないことがあります。

 

姿勢制御に関与

深層外旋六筋は、大殿筋などの大きな筋肉に比べて筋紡錘の密度が高いです。

筋紡錘は、筋の長さの変化を感知する受容器です。

この筋の長さの変化する感覚は、深部感覚であり、予測的姿勢制御(apa’s)に大きく関与します。

つまり、深層外旋六筋の筋紡錘が反応することで姿勢を調節し、バランスを保ってくれます。

姿勢制御の観点から見ても重要な筋ですね!

 

 

大腿骨頸部骨折のリハビリで外旋筋をみる理由

大腿骨頸部骨折で深層外旋六筋が問題となる原因としては、3つ!

●骨折による外傷を受ける

●手術によって影響を受ける

●受傷前より、骨盤後傾位であり短縮している

これらによって、

深層外旋六筋が影響を受け、筋スパズム柔軟性の低下がみられることが多いです。

 

では、深層外旋六筋の柔軟性が低下するとどうなるのか。

これによって起こる、障害は大きく2つ。

●大腿骨の骨頭の前方変位

●柔軟性低下による機能低下

 

大腿骨の骨頭の前方変位

深層外旋六筋は、大腿骨頭の後方を通ります。

そのため、深層外旋六筋の柔軟性が低下すると大腿骨頭を前方に押し出してしまいます。

 

では、

大腿骨頭が前方に押し出されるとどんな障害がおこるのか?

一番大きな問題が、

股関節の可動域が制限されることです。

 

大腿骨頭の前方変位が起こると、股関節の運動軸が変わってしまいます。

運動軸が変化すると適切な股関節の動きではなくなるため、可動範囲は狭くなってしまいます。

 

さらに、

関節包・靭帯の挟み込みを防ぐ機能も低下することで、可動域の制限が生じます。

 

では、股関節の可動域が制限されるとどうなるのでしょうか?

 

基本として、ジョイント・バイ・ジョイント理論で股関節は、モビリティ関節となっています。

つまり、大きな範囲動く必要がある関節であるということです。

 

可動域が制限されると股関節としての機能が制限されてしまいます。

そうすると、

制限された股関節の機能をスタビリティ関節である腰椎と膝関節で補おうとします。

その分、腰椎や膝関節に大きな負担がかかるため、腰痛・膝関節の痛みなどの2次障害につながっていきます。

 

簡単にまとめると

深層外旋六筋の柔軟性低下

大腿骨頭の前方変位

股関節の可動域制限(モビリティの低下)

腰椎・膝関節で代償

腰痛・変形性膝関節症などの2次障害

 

このような流れで、深層外旋六筋の柔軟性が低下し、大腿骨頭の前方変位がおこることで、股関節の機能低下だけでなく、腰椎や膝関節の障害にもつながってしまいます。

 

股関節の運動軸を適切な位置に戻し、適切な股関節の状態に戻すために、深層外旋六筋の柔軟性向上が必要です。

 

柔軟性低下による機能低下

筋の柔軟性が低下するということは、筋が伸び縮みができなくなるということです。

筋の伸び縮みができなくなると、筋の長さの変化を感知する筋紡錘が機能しなくなってしまいます。

それによって、

姿勢制御の機能が低下してしまうので、安定した姿勢が取れなくなります。

 

さらに、筋の柔軟性が低下することで、力を最大限発揮できる関節の位置が変化します。

 

筋は、筋の長さによって発揮する力が変化します。

筋には、力が発揮しやすい長さがあり、長くても、短くても発揮できる力は弱くなります。

 

筋の柔軟性が低下した状態で、股関節の中間位に戻すと筋は、伸ばされた状態になります。

伸ばされた状態での筋では、発揮できる力も弱くなってしまいます。

 

●筋紡錘が機能しなくなること

●適切な位置で筋の発揮できる力が弱くなってしまうこと

この2つによって、深層外旋六筋はインナーマッスルとしての機能がはたせなくなります。

 

このようなことが深層外旋六筋に対して大腿骨頸部骨折後におきます。

股関節の機能を向上させ、適切な姿勢制御を働かせるためにも、

深層外旋六筋の柔軟性の向上、機能向上が必要です。

●徒手での深層外旋六筋の柔軟性向上

●股関節の内旋・外旋運動を行い、柔軟性向上・機能向上

徒手・運動療法にて内旋・外旋運動を加えましょう!

 

まとめ

今回、深層外旋六筋の解剖と機能について、大腿骨頸部骨折と外旋筋の関係をまとめました。

 

大腿骨頸部骨折において深層外旋筋が影響していることは、かなり多いです。

さらに、大腿骨頸部骨折以外でも外旋筋が機能していないことは、多いです。

 

深層外旋六筋は、股関節が良い状態で働くためにもかなり重要です。

 

なので、明日からの臨床で、大腿骨頸部骨折の患者を診る際は、深層外旋六筋の評価・アプローチをしてみてください。

 

 

 

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