歩くとき、
足は、どんなふうに動いて、どんな活動が必要なの~?
そう、今回は、
歩行において、足部・足関節がどのように動き、どのな機能が必要か
そんなお話を各相に分けて。
まず、大きく分けて
歩行 と 足部・足関節の関係は、
- 立脚初期:下腿の前傾 と 足部の柔軟性
- 立脚後期:下腿の前傾の制御 と 足部の剛性
この役割を果たすために、歩行中に足部・足関節が機能的に働きます。
では、
各相ごとに見ていきましょう。
IC~LRの足部の働き
ICは、立脚期の一番初めであり、踵接地ともいわれます。
IC~LRでは、踵から接地し、踵を支点に前方へ移動する、
ヒールロッカー機能が働く必要があります。
そのために、どんな機能が必要なんでしょうか?
IC~LRでの足部の機能と役割
- 前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋の遠心性収縮
- 距骨下関節の回内による内側縦アーチの低下 と 下腿の内旋
前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋の遠心性収縮
この働きは、ICの際に最も重要です。
ICの際、床反力は、足関節の後ろを通ります。
そのため、ICでは、足関節の底屈方向へ大きな力が加わります。
しかし、
ICで足関節が底屈方向へ動いてしまうと、
フットスラップ や バックニーのような現象が起こり、前方へ移動が阻害されます。
この底屈作用を抑え、前方へ移動するための下腿前傾が起こるために
前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋が遠心性に働きます。
距骨下関節の回内運動(内側縦アーチの低下 と 下腿の内旋)
内側縦アーチの低下
ICで荷重が踵に加わった際に、
距骨下関節の回内運動が起こり、それに合わせて、内側縦アーチが低下します。
この作用は、
衝撃吸収においてかなり重要です。
歩行の踵接地には、体重の2倍から3倍の負担がかかるといわれています。
そのため、衝撃吸収機能が働かない場合は、かなり大きな負担が
膝関節・股関節 などにかかっていることになり、痛みなどの障害につながります。
しかし、
内側縦アーチが過剰に低下してしまうと
足部の柔軟性が過剰になってしまい、歩行の立脚期が不安定になってしまいます。
そこで、
後脛骨筋が働くことで、過剰な内側縦アーチの低下を防いでくれます。
下腿の内旋による膝関節屈曲
もう一つ、距骨下関節の回内運動によって及ぼすのが
下腿の内旋作用です。
距骨下関節が回内することで、
運動連鎖により、距骨の内旋・底屈、下腿の内旋が起こります。
この下腿の内旋作用によって、膝関節が屈曲し、衝撃吸収に作用します。
この膝関節の動き と 足部・下腿の動きの関係性は大きい。
膝関節には、screw home movementという作用があります。
膝関節屈曲位から伸展するときに下腿が外旋するというやつ。
逆の作用でいうと、
膝関節が屈曲するときは、下腿が内旋します。
そのため、
足部の作用により、下腿が内旋することで、膝関節が屈曲しやすくなり、衝撃吸収行う上で効率が良い運動となります。
LR~MStの足部の働き
LR~MStまで足関節は、距腿関節を支点として動くように変化し、
アンクルロッカー機能が働く必要があります。
では、アンクルロッカーが機能するためにどんな機能が必要なんでしょうか?
LR~MStの足部の機能と役割
- 下腿の前傾
- 足部の柔軟性と安定性
下腿の前傾
ICで遠心性収縮していた下腿前面の筋(前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋)の筋活動は、徐々に弱まってきますが、
張力によって、下腿が前方へ引っ張られるように力が働きます。
その作用によって、下腿が前傾し、前方への移動を可能にします。
下腿が前傾すると、足関節は背屈方向へ動くため、
足関節の背屈制限がある場合は、下腿前傾の動きを阻害してしまいます。
また、下腿が前方へ移動しすぎると、膝折れの原因にもなってしまします。
そのため、
下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)が活動し始め、下腿前傾のブレーキ作用として働きます。
足部の柔軟性と安定性
LR~MStでは、
足底はすべて接地した状態となります。
先ほども述べたように、IC~LRにかけて距骨下関節が回内し、それに伴って内側縦アーチが低下します。
この距骨下関節回内によって、足部の柔軟性が向上し、内側縦アーチが低下しやすいように働きます。
足底が接地した状態で、足部の柔軟性があることで
デコボコな道 や やわらかい地面 の上でもバランスをとることができます。
ただ、
柔軟性がありすぎると、内側縦アーチの過剰な低下起きてしまいます。
そうすると、
トラス機構 や ウインドラス機構が働かなくなるため、立脚期の安定性が損なわれます。
そのため、
後脛骨筋、長母趾屈筋によって内側縦アーチを安定させ、機能させることが重要になってきます。
足部のアーチ、トラス機構、ウインドラス機構について知りたい方は、
こちらの記事をチェック!
MSt~Tst・PSwの足部の働き
MSt~Tstでは、足底が接地している状態から前足部へ重心が移動します。
そのため、支点が距腿関節から前足部へと移動し、
フォアフットロッカー機能が働く必要があります。
さらに、Tst~PSwでは、母指球への荷重が大きくなります。
MSt~Tst・PSwの足部の機能と役割
- 下腿三頭筋の遠心性収縮
- 後脛骨筋と長腓骨筋によるクロスサポートメカニズム
- 足部内在筋の活動
下腿三頭筋の遠心性収縮
MSt~Tstにかけて、下腿の前傾は続くため、
下腿前傾を制御するために下腿三頭筋が遠心収縮します。
下腿三頭筋でも、
ヒラメ筋は下腿前傾を制御し、
腓腹筋は下腿前傾の制御に加え、足関節底屈・膝関節の屈曲作用を伴います。
Tstで膝関節が屈曲せずに、伸展位のままの場合は、
ヒラメ筋の過活動・腓腹筋の機能低下が影響することが考えられます。
さらに、Tst~PSwにかけて、
ヒラメ筋の活動により、
距骨下関節が回外方向へ誘導され、足部の剛性を高めるように働きます。
Tst~PSwにかけて、足部の剛性を高めることで、前足部のでの支持を可能とします。
そのため、フォアフットロッカーが機能しやすくなります。
さらに、
前足部支持が可能となることで、
Tst時に重心が下方へ下がることを防ぎ、より効率の良い歩行となります。
クロスサポートメカニズム
クロスサポートメカニズムとは、
長腓骨筋の回内作用 と 後脛骨筋の回外作用によって、
足部の安定性を高める働きがあるということです。
さらに、長腓骨筋が働くことで、
中足部・前足部を回内にロックするように働き、母趾への荷重が促されるため、
母趾での蹴りだしが可能となります。
足部内在筋の活動
もちろん、
立脚期を通して、アーチが崩れないようにするために、足部の内在筋の活動は、重要です。
しかし、Tst・PSwでは、前足部のみでの支持になるため、
より内在筋の活動が必要になってきます。
さらに、
内在筋の活動が高まることで、ウインドラス機構が働きやすくなるため、
足部の剛性を高めやすくなります。
まとめ
今回は、歩行 と 足部・足関節の機能の関係についてまとめました。
歩行において、足部・足関節の機能をおおきくまとめると
- 立脚初期:下腿の前傾 と 足部の柔軟性
- 立脚後期:下腿の前傾の制御 と 足部の剛性
この2つの機能を成り立たせるために、
各相によって筋活動・関節運動が生じます。
これらを知っておくことで、
歩行中に細かく見ることは、難しいですが、
評価・治療のポイントが見えてきます。