今回は、股関節周囲の筋の中でもマイナーな小殿筋について!
実は、小殿筋は、股関節が円滑に、機能的に働くうえで重要なんです。
小殿筋が機能しないと股関節はうまく動かず、大殿筋や中殿筋は機能しなくなります。
『なぜ、小殿筋が股関節が動くうえで重要か』を詳しく、説明し行きましょう!
小殿筋の解剖学
まずは、基本的な小殿筋の解剖学!
小殿筋は、中殿筋の深層に位置する筋です。起始・停止、作用は、上記の図の通りです。
注目するポイントは、
股関節の関節包に一部停止する
というということです。
関節包に一部停止するということは、
小殿筋が働くことによって、
股関節の運動時の関節包の挟み込みなどを防ぎ、円滑に動くようになります。
なので、
股関節が動きやすい状態を作るために小殿筋が作用する必要があります。
小殿筋の機能は?
股関節のインナーマッスル
小殿筋の大きな機能は、
股関節のインナーマッスルとして働く
ということです。
小殿筋は、大腿骨頸部と平行に走行しいます。
そのため、小殿筋が収縮すると、大腿骨頭を関節窩に押し付けるように作用します。
この作用によって、大腿骨頭を求心位に保つことができます。
さらに、
小殿筋の一部は、関節包に停止します。
そのため、
小殿筋が働くことで、関節包が緊張し大腿骨頭を関節窩に安定させる
とも言われています。
大腿骨頭を求心位に保つことで股関節が安定するため、大殿筋や中殿筋が働きやすくなります。
片脚立位と小殿筋の関係としてこんな報告があります。
片脚立位で時の股関節外転筋の筋活動を測定した結果、小殿筋が中殿筋や大腿筋膜張筋に比べて優位に高かった。
(室伏祐介:ワイヤ電極による股間sてう外転筋の比較 外転20°、片脚立位、歩行において.Hip Joint,39(Supple):235-237,2013)
このようなことも言われているため、
片脚立位において外転筋の機能不全が疑われる場合、
中殿筋だけでなく小殿筋の機能を見る必要があるということです。
THA術後の患者と小殿筋の関係についてこのような報告もあります。
THA患者の報告では、術前と術後3か月を比較した際、小殿筋の筋量が減少しいた。
また、大腿筋膜張筋の筋量が増加していたともいわれています。
(参考文献:Philipp Damm:Gluteal muscle damage leads to higher in vivo hip joint loads 3 months after total hip arthroplasty.2018)
THAの患者を見る際は、小殿筋の筋量が減少しいることに伴い、機能低下が考えられます。
その代償として、大腿筋膜張筋が過活動を起こし、筋量の増加がみられたことが示唆されます。
そのため、THA患者の術後より、小殿筋の機能評価・治療を行う必要があることが考えられます。
これ、面白いですね。
THAの患者で
小臀筋が機能していないケースは、多いと最近、臨床で思ってます。小臀筋は、
股関節の安定に必要な筋なので、
選択的に機能改善する必要がありますね! https://t.co/umXLZAB7K4— hiroki fujita (理学療法士) (@hiro24439725) December 20, 2019
小殿筋の運動療法
小殿筋を選択的に機能改善を行うための運動療法を紹介していきます。
小殿筋の運動療法
- 低負荷での股関節外転20°での外転運動
- 低負荷での股関節屈曲位での内旋運動
なぜ低負荷の運動がいいの?
小殿筋は、中殿筋よりも筋断面積が小さいため大きな筋力を発揮しずらい筋なんです。
また、このような報告があります。
最大随意筋力の20%で、中殿筋に対する小殿筋の活動量が最も多い。
(室伏祐介ほか:等張性収縮における小殿筋筋活動と中殿筋筋活動の比較―ワイヤ電極を用いてー、理学療法科学、31(4)567-600、2016)
つまり、
低負荷(最大随意筋力の20%)での外転運動にて小殿筋を選択的にトレーニングできるということです。
そのため、小殿筋に対してアプローチする際は、
大きな力を出すような訓練ではなく、低負荷で運動が円滑に動けるように実施していきます。
小殿筋の作用は、外転・内旋です。
そのため、股関節内旋運動、外転運動にて強化することが可能です。
股関節外転20°での外転運動
股関節の等尺性外転運動において、中殿筋の活動は外転に伴い低下し、
小殿筋の活動に大きな変化がみられず、小殿筋の相対的な寄与率が増加する傾向にある
と言われています。
つまり、股関節外転位の方が中殿筋の活動が抑えられ、小殿筋の活動の方が大きくなるということです。
さらに、
股関節の外転運動では、外転0°より外転20°の方が小殿筋の筋活動が高い。
(室伏祐介ほか:変形性股関節症に対する理学療法、高知県理学療法、19:15-23、2012)
このような報告があります。
ということは、
小殿筋を選択的にトレーニングするためには、股関節外転20°での運動が有効です。
股関節屈曲位での内旋運動
小殿筋は、股関節内旋筋でもあります。
そのため、股関節の内旋運動でも収縮を促すことができます。
ただ、臨床的に、
股関節屈曲位での内旋運動は、THAなどの脱臼肢位となり、利用できない場合があります。
そのため、
低負荷の股関節外転20°での外転運動の方を臨床では、行うことが多いです。
まとめ
今回は、小殿筋の機能についてまとめました。
- 小殿筋の停止部の一部が関節包にあるため、股関節が円滑に動くため機能する必要がある。
- 小殿筋は、股関節のインナーマッスル。
- 片脚立位を保持するのに小殿筋は、重要な筋肉。
小殿筋は、股関節のインナーマッスルとして働き、大腿骨を求心位に保つ働きが重要になります。
さらに、片脚立位でも大きな役割を果たしているため、立位での動作では、欠かせない筋です。
小殿筋の機能の評価・治療が必要となってきますね!