脳卒中患者のリハビリを行うにあたって知っておかなければならないのが予測的姿勢制御(anteicipatory postural adjustments:以下apa’s)という機能です。
予測的姿勢制御(apa’s)を聞いたことがある人もたくさんいると思うんですけど、文献を読んでもよくわからないと思った人は、多いのではないですか?
予測的姿勢制御は、バランスを保つために姿勢を制御する際に大きな役割があります。特に動作を行う前から身体が予測して、バランスを崩さずに動作が遂行できるように姿勢を調節してくっれるのです。
また、予測的姿勢制御の機能は、体幹機能にも大きく影響してきます。
今回は、そんな予測的姿勢制御の働き、臨床の治療への活かし方についてわかりやすくまとめました。
予測的姿勢制御とは?
予測的姿勢制御(apa’s)とは、
『随意運動の際に生じる動揺のカウンターバランスとして機能する無意識な筋活動』
のことです。
簡単に説明すると、
『動作を行う前、あらかじめ筋を収縮させ、安定した姿勢を作っておこう』
ってな感じです。
このapa’sが働くことで、腹横筋などのコアスタビリティの活動が運動に先行して活動し、姿勢を安定させます。それにより、安定した姿勢ができるため、倒れずに、座って何かをしたり、立ってないかをしたりできるわけです。
このapa’sにも2種類あり、
・Papa’s(予測的随伴性姿勢調節)
・Aapa’s(随伴性予測的姿勢調節)
前者が運動の直前に姿勢の調節として働き、倒れないためにの準備として安定した姿勢を作ります。
後者が運動開始後にPapa’sに続いて、姿勢の調節として働き、身体の動きに合わせて姿勢を安定させます。
この2つは、大脳皮質からの指令が送られてくる部位が異なり、
Papa’sは、6野
Aapa’sは、4野
から指令が送られます。
この2つは、動作の中で常に働いており、姿勢調節するうえで関係しあっています。
予測的姿勢制御に関係する経路は?
では、apa’sが機能するために必要な神経経路は、なんなんでしょうか?
・皮質網様体路
・網様体脊髄路
この皮質‐網様体‐脊髄の経路が主に関係してきます。
網様体脊髄路
網様体脊髄路は、橋・延髄にある網様体から脊髄へ連絡する下行性の神経経路です。
網様体脊髄路は、
・内側網様体路(橋から脊髄)
・背側網様体路(延髄から脊髄)
の2つの経路があります。
内側網様体路
大脳皮質からの指令を受けない。抗重力の筋の筋緊張と伸張反射に対して興奮性に働く。
背側網様体路
大脳皮質(運動野)からの指令を受ける。伸張反射に対して抑制性に働く。
この2つの神経経路が協調的に働くことで抗重力筋の筋緊張を調節し、姿勢を制御しています。
では、網様体脊髄路がカラダのどの部分の調節を担っているかを下の図を使って説明していきます。
内側運動制御系と外側運動制御系 引用:高草木薫:大脳皮質・脳幹-脊髄による姿勢と歩行の制御機構.脊髄外科 27:208-215,2013
右側のAが内側運動制御系:
網様体脊髄路、前庭脊髄路、視蓋脊髄路
左側のBが外側運動制御系:
外側皮質脊髄路、赤核脊髄路
青や赤で色がついている部分がこれらの神経経路が関係している身体の部分になります。
apa’sに関係する経路としてあげた、網様体脊髄路は、Aの内側運動制御系に含まれています。
つまり、
網様体脊髄路:両体幹・両上下肢近位筋の協調的な運動を調節する役割
があります。
網様体脊髄路が働くことで、中枢部の筋(腹横筋などのコア機能など)が機能し、動作を行う直前に姿勢を安定させます。
網様体脊髄路が両体幹・両上下肢近位部の筋の調節を行うため、この経路の機能が低下すると体幹筋の筋活動の低下も見られます。
そのため、臨床でみられる体幹の低緊張は、網様体脊髄路の機能低下が関与している頭いことです。
皮質網様体路
皮質網様体路は、大脳皮質(運動野)から延髄網様体系へと投射する下行性の経路である。
大脳皮質の運動野から延髄網様体へ指令を送り、網様体脊髄路の調節を行います。
運動野にも4野(一次運動野)、6野(補足運動野、運動前野)があり、網様体へと投射するが機能するapa’sが異なります。
6野(補足運動野、運動前野)→Papa’s
4野(一次運動野) →Aapa’s
特に6野からの指令は、運動の直前に働く準備としての役割のPapa’sに大きく関与するため、重要です。
臨床においては、大脳での障害により、この皮質網様体路が損傷され、機能の低下がみられます。皮質網様体路の損傷により網様体脊髄路の機能が低下し、体幹の機能障害やバランス機能障害がみられることが多いです。
これまでの話の要点をまとめると、
運動野(4野、6野)からの指令により、皮質網様体路、網様体脊髄路が活動し、apa’sが機能する。apa’sが機能することで両体幹・上下肢近位筋の筋活動が得られ、姿勢を制御している。
臨床で予測的姿勢制御を活かす方法
上記の話で、大脳皮質の運動野(4野、6野)からの指令によりapa’sが働くことは、伝えました。
でも、どうやってこの知識を臨床で活かすの?
って思いますよね。
これから、臨床で活かす方法を説明していきますよ!
セラピストの介入によって、このapa’sを機能させ、機能を改善させる方法としては、
①感覚入力(特に体性感覚)
感覚入力
apa’sが機能するために感覚入力が重要なんです。
臨床でもよく聞きますよね。先輩たちから、感覚を入力しながらリハビリをしたって!
つまり、これですよね!
感覚入力によってapa’sを機能させて、姿勢制御や体幹機能を向上させているわけですね!
なんで、感覚入力を行うとapa’sが機能するかって話です。
感覚にも大きく分けて2つ
表在感覚と深部感覚があります。
それらの感覚情報は、頭頂葉の一次感覚野へと投射されます。
感覚情報は、一次感覚野の3野にまず、投射され、頭頂連合野(5、7野)にいき、Body Schemaを変化させ、6野へと投射されます。
触覚、固有受容覚、運動感覚などの感覚情報に基づき、更新される自己の姿勢モデル。
下のような順番で、感覚情報は、感覚野から運動野に投射されます。
3a野→3b野→1野→2野→5野→7野→Body Schema→6野→Papa’s
また、3a野から4野への投射もあり、Aapa’sを機能させます。
3a野→4野→Aapa’s
なぜ、3aと3bでで分かれているの?って思った人もいるかもしれません。
それは、
深部感覚と表在感覚で投射される部位が異なるからです。
深部感覚 → 3a野
表在感覚 → 3b野、1野
つまり、
深部感覚の感覚情報からは、Papa’sとAapa’sを機能させることができます。
表在感覚の感覚情報からは、Papa’sを機能させることができます。
実際の臨床でどう活かすか!
感覚入力によりapa’sを機能されるために、
ハンドリング
を利用します。
ハンドリングにて触りながら動かすことにより、表在感覚が入力されます。
また、ハンドリングによって筋を操作することで、筋紡錘からの深部感覚が入力されます。
皮膚からの刺激、筋を操作しながら筋紡錘からの刺激を加えながら、セラピストが求めている動作を誘導することで、Body Schemaが書き換えられ、より動作に適したapa’sが働くようになります。
ハンドリングを利用しながら、動作訓練を行うだけで、適切なapa’sが機能し、体幹機能の向上、効率の良い姿勢制御が運動学習され、動作の獲得を目指すことができます。
ただ、ハンドリングって結構難しいです。
なかなか、教えてもらえなかったり、自分でよい反応がわからなかったり、
難しいです。
なので、ハンドリングの勉強会は、参加してみる価値はあると思います。
実際の講師に教えてもらい、かえって練習って感じですね。
ただ、このことを知っているだけでも、触り方や、ハンドリングを使う意味の理解には、大きな差ができると思います。
まとめ
今回は、予測的姿勢制御(apa’s)についてまとめした。
今回の内容をまとめると
- 予測的姿勢制御(apa’s)によって、姿勢調節、体幹機能の調節がおこなわれ、安定した動作が可能となる。
- 予測的姿勢制御には、運動野(4、6野)からの皮質網様体路、網様体脊髄路が重要である。
- 予測的姿勢制御を機能させるは、感覚入力が重要であり、そのためにハンドリングが有効である。
安定した動作の獲得には、予測的姿勢制御は、重要です。
そのための感覚入力は、重要であるため、
明日の臨床より、少し、感覚入力の意味や動作を誘導するときの触り方を考えながら、
リハビリを行ってみてください。
ちなみに、私も試行錯誤しながら、練習中です!
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