姿勢・動作

立ち上がり動作を分析する3つのポイント

立ち上がり

臨床で手すりを使わずに立ち上がれない患者、多くないですか?

 

立ち上がりって、

意外と難易度高い運動なんですよ。

しっかりとした機能が必要なんです。

 

だから、

お尻が重くて立ち上がれない患者も多いですよね。

 

また、

患者さんで手で引っ張る

機能が良いほうで立ち上がり左右差が出る

などといった代償動作がみられやすい。

 

難易度が高く、機能が必要ということは、

日常的に行う、良い訓練にもなり、歩行など他の動作にもつながってきます。

 

そのため、

代償動作のない立ち上がりの獲得は、必要です。

 

今回は、

立ち上がりの動作分析を行う上でチェックしたい3つのポイント

各相を運動学的に、必要な機能についてまとめていきます。

立ち上がり動作の基本

立ち上がりは、

重心を臀部と足部からなる広い支持基底面から足部のみの狭い支持基底面へ移動する必要があります。

それに加え、

重心を上方へ移動しなければなりません。

 

つまり、立ち上がりは、

重心の前方+上方への移動を同時に協調的に行わなければならない動作です。

重心の前方移動と上方移動を同時に行うため、立ち上がりは、比較的、難易度の高い動作といえます。

立ち上がりの4相

立ち上がりは、4つの相に分けられます。

下の図を見てみましょう。

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立ち上がりの4相

◆第1相:屈曲相  安静座位~離殿まで

◆第2相:移行相  離殿~足関節最大背屈まで

◆第3相:伸展相  足関節最大背屈~直立位まで

◆第4相:安定相  立位姿勢の保持

立ち上がりは、この4相に分かれていて、

それぞれの役割があり、必要な要素が異なります。

 

各相については、これから解説していきます。

 

立ち上がりを見るときのチェックポイント3つ

立ち上がりは、一連の動作なので

いきなり各相に分けてみるのは、難しいですよね。

 

そのため、

はじめは、大まかに動作を見て、大まかにどの要素が足りないかをチェックしていきます。

 

ここで

立ち上がり動作分析するにあたってチェックするポイントは3つ

  • 体幹が抗重力姿勢を保っていられるか
  • 下腿の上に大腿を持ってこられるか
  • 下腿が安定しているか

 

立ち上がりの各相においてそれぞれ必要な要素はありますが

一連の動作を見るうえでは、まず、この3つができているかどうかを見ることが必要です。

 

この要素が重要な理由を下記に解説していきましょう!

体幹が抗重力姿勢を保ってられるか

立ち上がりでは、重心を上方へ移動しなければなりません。

体幹が抗重力姿勢を保持ができない場合、

重心の高さを維持できず、重心が下方へ移動してしまい、

重心の上方移動が阻害されてしまいます。

 

下腿の上に大腿・骨盤を持ってこられるか

立位姿勢とは、下腿の上に大腿・骨盤がある状態です。

そのため、

立ち上がりにおいて、

安定した下腿の上に大腿をもってこられるかがかなり重要になります。

 

・下腿が安定しているか

立ち上がる際、地面に設置している部分は足底しかありません。

足部・下腿が土台となります。

 

土台が安定していなければ、立位姿勢は成り立たないので、

下腿の安定も重要になってきます。

 

一連の動作において、まずこの3つができているかを確認してみてください

第1相:屈曲相

第1相は、安静座位~離殿までの動きです。

安静座位から重心を前方へ移動し、足部へと重心を移動する必要があります。

 

そのため、

この相で必要な大きな要素が

  • 体幹の前傾と抗重力姿勢の維持
  • 骨盤の前傾
  • 下腿の前傾

体幹の前傾と抗重力姿勢の維持

安静座位から

体幹を前傾させせることで、

重心が前方へ移動することができます。

 

さらに、

重心の高さを維持するために

抗重力姿勢を維持することが重要になってきます。

 

体幹の前傾と抗重力姿勢の維持に必要な機能は2つ

  • 脊柱起立筋や僧帽筋下部の活動による胸椎の伸展
  • コアスタビリティの活動による腰椎の安定

 

これらの機能により

体幹の前傾と抗重力姿勢を維持され、

重心の高さを変えずに効率よく重心を前方へ移動が可能となります。

 

よく見られる代償動作としては、

胸椎の伸展、腰椎の安定が保てず、

胸椎から屈曲し、腰椎が後弯した状態で立ち上がろうとします。

コアスタビリティとは

多裂筋、腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群の4つの筋によって腰椎の安定性の向上させる機能のことである。腰椎の周りを囲むように筋が配置されており、コルセットのような働きをし、4つの筋が協調的に活動することで腰椎が安定し、腹圧が高まる。

 

骨盤の前傾

重心を前方へ移動のために骨盤の前傾も必要です。

骨盤の前傾によって、腰椎・胸椎が伸展位に保持することができ、抗重力伸展活動が得られます。

 

骨盤が後傾位の場合、

腰椎・胸椎は、屈曲してしまうため、抗重力姿勢の保持が困難になります。

その代償として、さらに胸椎・腰椎を屈曲させ、通常より多く前方へ重心を移動しなければなりません。

 

なので、

抗重力姿勢の保持を行うためにも、骨盤の前傾は必要です。

 

座位で骨盤を前傾の際、必要な機能は、

股関節屈曲90°までと股関節屈曲90°以降でが異なります。

【股関節屈曲90°まで】

腸腰筋多裂筋の活動によって、

骨盤の前傾と腰椎の伸展運動が起こります。

【股関節90°以降】

慣性により、重心は前方へ移動します。

その慣性を制御するために大殿筋ハムストリングスの活動が必要です

このように、骨盤の前傾でも活動する筋が異なるため、

股関節屈曲90°までもって来れないのか

股関節屈曲90°まで持ってこられるけど、それ以降保持ができないのか

評価する必要があります。

 

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下腿の前傾

重心を前方へ移動するために必要な3つ目のポイントが

下腿の前傾です。

この動きに必要な機能は、

  • 前脛骨筋の活動による下腿の前傾作用
  • 大殿筋の活動による下腿の安定

この下腿の前傾は、

立位にて土台となる足部・下腿が安定した状態で起こらないといけません。

 

そこで、下腿が安定するために大きな役割を担っているのが

大殿筋の作用なんです。

大殿筋の活動により股関節を伸展する方向へ力が加わり、同時に大腿骨を下腿長軸方向へ押し付ける力も働きます。

この押し付ける力が働くことで、下腿が安定した状態で、前傾できるのです。

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実際の臨床でも

大殿筋の働きにより、下腿が安定することがあるため、

やっぱり、大殿筋は重要な筋肉ですね。

 

第2相:移行相

第2相は、離殿から足関節最大背屈までの動きです。

第1相より重心をさらに前方へ移動させ、加えて股関節、膝関節が伸展し始め、重心を上方へも移動する必要があります。

重心を上方へ移動し始めるため、立ち上がりの中で最も筋出力が要求されるます。

この相で重要な機能が2つ

  • 下腿前傾位での安定性
  • 下腿の上に大腿を持ってこられるか

 

下腿前傾位での安定

第2相は、第1相に続いて下腿を前傾させます。

第2相にて下腿を安定させるために重要な機能は、

  • 前傾脛骨筋の活動による下腿前傾作用
  • 下腿前傾を制御するための下腿三頭筋の活動
  • 大殿筋による下腿安定作用

第1相と同様に、下腿の前傾には前脛骨筋の活動が必要です。

前脛骨筋の活動が優位に働くことによって、

床反力の作用点が踵に位置し、さらに下腿が前傾することが可能となります。

 

しかし、

このまま下腿が前傾し続けると、膝折れしてしまい、立ち上がれません。

そこで、下腿三頭筋がブレーキ作用として下腿の前傾を制御してくれます。

 

 

下腿の上に大腿を持ってこられるか

第2相では、重心を上方へ移動させるために、股関節、膝関節が伸展し始めます。

まず、

安定した下腿が必要であり、その上で膝関節が伸展し、下腿の真上に大腿が来るように動きます。

 

そのために重要になってくるのが、

大殿筋 と 大腿四頭筋の活動による股関節・膝関節の伸展

 

殿筋の活動により股関節が伸展し、さらに下腿を長軸方向へ押し付ける力が働きます。

股関節の伸展 と 下腿の安定に関与しています。

 

大腿四頭筋の活動によって、膝関節が伸展します。

加えて、

大腿骨が膝関節を支点に動くため、大腿骨近位部で骨盤を上方へ押し上げる力が働きます。

 

この2つの筋活動により、重心を上方へ移動させることができるのです。

 

さらに、

一番低い位置から重心を上げなければならないため、最も筋出力が必要となります。

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第3相:伸展相

第3相は、足関節最大背屈から直立位までの動きです。

直立位となるため、重心を上方へ移動しなければなりません。

そのため、

股関節、膝関節は第2相に続き、伸展し、前傾していた下腿は、直立位となるため足関節の底屈を少しおこります。

 

この相で重要な機能は、

  • 下腿の上に大腿を持ってこられるか
  • 下腿の安定性
  • バランス保持 

 

 下腿の上に大腿を持ってこられるか

第2相に続いて股関節・膝関節の伸展が起こり、

安定した下腿の上に大腿を持ってくるように動きます。

 

ここで重要になってくるのが第2相同様、

大殿筋 と 大腿四頭筋の活動による股関節・膝関節の伸展

第3相では、

重心が第2相よりも上方にあるため、第2相よりも大きな筋出力は必要ありません。

 

下腿の安定性

第3相では、足関節の底屈が少しおこります。

この機能で重要なのは、

下腿三頭筋が優位に活動し、下腿を安定させること

第2相までは前脛骨筋が優位に活動していました。

しかし、第3相では下腿が前傾位から直立位になります。

そのため、

前脛骨筋も協調的に働きはしますが、下腿三頭筋の活動が優位となります。

 

バランス保持

重心が上方へ移動するにつれ、動作は不安定となり、バランスをとる必要があります。

そのため、

  • 足関節ストラテジー(下腿三頭筋、前脛骨筋などの下腿筋群の協調的な活動)
  • 股関節ストラテジー(股関節周囲筋によるバランス戦略)

の2つのバランス戦略が必要になってきます。

足関節ストラテジー、股関節ストラテジーの両方使いながら、バランスをとり、直立位となります。

 

特に、足関節ストラテジーが重要です。

足関節ストラテジーの方がより高度なバランス戦略であり、

より安定した姿勢をとるために必要になります。

 

そのため、

下腿の筋 や 足部の筋の機能も重要になってきます。

 

第4相:安定相

第4相は、立位姿勢が安定した状態です。

この相では、環境であったり、外乱刺激、内乱刺激に対して、バランスを崩さずに姿勢を保持する必要があります。

大きな筋活動は必要とはしませんが、

個人的な因子であったり、知覚情報であったり、環境など様々な要素に影響されるため、

第4相では、それらも評価する必要があります。

 

まとめ

今回は、立ち上がりについて各相ごとにまとめました。

それぞれの相によって必要とされる筋活動は異なりますが、立ち上がり動作を通して、共通して必要な要素は、はじめに述べたように

  • 体幹が抗重力姿勢を保ってられるか
  • 下腿の上に大腿・骨盤を持ってこられるか
  • 下腿が安定しているか

 

なので、

まずはこの3つのどの要素ができていないか分析し、その後、細かくどの相のどの要素が足りないかと評価していくと、立ち上がりの動作分析がしやすくくなると思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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